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喫茶プログラムは医療?仕事?
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総合病院や一般病院の精神科ではあまり見かけませんが、精神・神経科の単科の病院などでは喫茶コーナーの従業員を患者がやっているところがあります。もちろん、これには理由があって、リハビリ(訓練)のひとつとして取り入れているのです。精神疾患でしんどい時期が終わり、少しづつ体が元気になってきているのですが、いきなり病気になる前のように働き始めるには不安が残る、自分の体力やペースをつかみながらすこしづつ慣らしていく、病院といったある意味守られた場所で働く練習をすることで、社会経験を積んでいくといった理由で取り入れられています。
理由だけ考えると、人によっては必要な練習になると考えられるのですが、そこには大きな問題があるのです。それは医療費の問題です。このように喫茶コーナーで働いている患者のほとんどは、デイケアか作業療法に参加の名目で喫茶コーナーで働いています。つまりデイケアや作業療法のプログラムの中に喫茶というプログラムがあるのです。もちろん、デイケアや作業療法の目的であるリハビリということを考えると、このようなプログラムがあることは、人それぞれに応じたリハビリプログラムが選べるという意味ではいいことだと思います。ただ、忘れてはいけないことは、デイケアや作業療法に参加するためには、患者は医療費を払わなければならないということです。もちろん32条(通院医療公費負担制度)や生活保護の制度を使っていると自己負担額は5%もしくは無しということになるのですが、医療機関側は医療費としてのお金を受け取っているのです。
病院によって違いがありますが、患者が喫茶コーナーで働いたお金は安いものです。労働基準法の最低賃金は満たしていない場合がほとんどです。もちろん、仕事としてやっているわけではなく、訓練としてやっているわけですから、最低賃金を満たす必要はないというのも分かるのですが、例えば、5%負担の人がデイケアに参加してそのプログラムとして、喫茶プログラムに参加したとします。恐らくその人がもらえるお金はデイケアに参加するための自己負担額よりも少なくなってしまうこともよくあることです。そんな人にとったら、喫茶コーナーで働いたのに出て行くお金の方が多いというのであれば、納得できない部分もあるのではないでしょうか。そういう理由もあり、病院によれば、喫茶コーナーで得られた利益分を参加者個人に還元するのではなく、その喫茶プログラムに参加した人で話し合い、何に使うかを決めることにより、訓練という意味合いを強めているところもあります。もちろん、地域生活支援センターや作業所などで喫茶を行っているところも多数あり、それらのほとんどが最低賃金よりも安い給料で運営されています。しかしここで問題になってくることは、医療機関が行ってもいいのかということです。医療費を受け取りながら同時に給料が発生するプログラムを運営してもいいのかということです。
行政としては、医療機関で給料の発生するプログラムに対して規制を強めています。それならば、純粋に訓練として考えて、給料を出さないのであればいいのではないかというようにも思ってしまうのですが、そうすると参加する人のやる気がなくなってしまったり、労働をしてその見返りとしての給料をもらうという「仕事」というものの疑似体験する機会がなくなってしまうことにもなりかねません。さらに最も大きな問題としては精神医療がたどってきた歴史というものに関係してきます。昔は、精神病院ではリハビリや作業療法と称して、患者さんに内職仕事を強要したり、病院の掃除などの使役行為が頻繁に行われてきました。医療費を受け取っているだけでなく、精神病院という閉鎖的な空間で中でどのようなことが行われているのかが分かりにくい状況の下、患者の人権を無視したような行為が平然と行われてきた歴史があるのです。そして、患者が行った内職作業の工賃は病院側が全て取り上げるといったことが普通に行われてきました。現在ではそのようなことはなくなってきているのですが、喫茶プログラムは、そのような環境を作り出してしまう可能性があるプログラムであると考えられるからです。もちろん喫茶プログラムも有効に使われたのであれば、リハビリ効果が得られるのですが、常に弱い立場の患者としては、もし医師に喫茶プログラムに参加しなければ病気が治らないと言われたとしたら、断ることができる人は少ないのではないでしょうか。同じようなプログラムには作業療法と称した内職作業や園芸療法と称した農耕作業なども含まれてきます。
また逆に給料を払うことを考えてみます。医療費の自己負担額がない人にとったら、その給料は医療機関に医療を受けに行ってお金をもらって帰って来るということになります。お金をもらう医療があるのだろうかという問題と、同じように医療を受けにいってお金を払う人がいることを考えると医療のもとの平等が崩れてしまうことにもなりかねません。
さて、もしあなたが主治医から、喫茶プログラムに参加するように言われたとしたら、あなたは参加しますか。それとも参加しませんか。
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