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自分のカルテを見る?見ない
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誰でも一度ぐらいは病院に行ったことがあるとは思いますが、その時に自分のカルテをみせてもらったことがありますか?
恐らくほとんどの人が見せてもらったことはないと思います。そんなことは考えたこともない。医師に怒られそうで言い出せない。そんな人も多いのではないかと思います。新聞にこんな記事(「個人情報保護法4月から全面施行 カルテ・診療費開示義務化 拒否に罰則」)が載りました。
つまり、今後、患者本人がカルテの開示を求めたならば、医療機関は原則として、それに応じなければならないということなのです。ただ、これに関しても「原則として」ということであり、原則あるところに例外ありの例に漏れず、これにも例外があります。
まず、個人情報保護法の対象機関が、5000人以上の個人情報を持っている機関であるということから、規模が小さかったり、開院して間もない診療所等はほとんどが適用外となりますし、学術研究機関は対象外のために、大学病院も開示する義務はないことになります。
次に、患者と家族の人間関係が悪化するなど「第三者の利益を害するおそれがあるとき」も開示する必要がないとされています。これはどのような場合かというと、患者の家族が、本人から医療機関には言わないで欲しいと言われたことを家族が医療機関に伝えた場合などがあたります。この場合、本人にカルテ開示をしたとすると、患者本人と家族との関係が悪化する可能性があるからです。精神疾患の人の中には、家族との関係があまりうまくいっていない人も多くいます。そして、本人が言わないで欲しいと言ったことでも、医師が知っておかなければ適切な治療ができないことも多くあるのです。
三番目として、「患者本人の心身の状況を著しく損なうおそれがあるとき」ということが精神科では一番の問題となると思います。つまり、精神科では自分が精神疾患を患っているという自覚がない人も多くいて、そのような人にカルテを開示し、疾患名を知らせてしまうことは、患者本人にとって悪影響があるということです。特に精神疾患では、心が疲れて医療機関に頼る人がほとんどですから、そのような人にカルテを開示するということは、患者本人のためにならないという言い分が通ってしまうのです。もちろんそれが必要な人もいるのですが、そのことを理由にして本来開示しなければならないことまでも開示しなくなる可能性も考えられます。例えば、診療点数に関してもどのような治療行為をしてそれにどれだけの金額がかかったということも開示する必要がなくなるのです。
カルテを患者自身が見ることによって、患者自身が医師の説明を受けて納得した治療がされているか、無駄な治療を受けていないかということが判断できるようになりますし、分からないことは医師に説明を求めることができるようになります。そういう意味では、患者が自分自身の状態を理解し、納得した上での治療を受けるわけですから、何も知らないで治療を受けるよりも、治療効果が得られやすくなります。患者自身が積極的に治療目的を知ることが治療の第一歩になるのですから…。
ただ、特に精神科では医師と患者の関係が重要になってきます。もし、現在その関係がうまくいっているのであれば、患者がカルテを見せて欲しいと言い出すことで、その医師を信頼していないのではないかと思われてしまい、関係がギクシャクしてしまうのではないかと心配になってはしまう人もいるでしょうし、仮にカルテを見せてもらったとしても、専門用語が並んでおりほとんど理解不能であったり、何よりもカルテに記載されている文字が汚くて読めないことの方が多いのではないでしょうか。もちろんカルテの記載内容に関して、質問をするとそれに答えなければならない義務はあるのですが、それに関しても医師が望ましいということで、医師でなければならないということにはなってはいません。
また、逆の立場からみたカルテ開示の影響を考えてみますと、カルテを書く立場の人、医師をはじめ、看護師、心理士、ケースワーカー、作業療法士などが、カルテを患者に見せなければいけないということを意識するようになります。そのことで、今までと同じような書き方ができなくなってしまう可能性があるのです。今までであれば、医療行為の中で自分が知ったことを正確に記録に残し、また他の職種の人がそれを読むことで、患者の情報をより多く共有することができたのですが、患者に見せなければならないとうことを意識するあまり、書きたいことが書けなくなってしまったり、知らない間に言葉に客観性が少なってしまう可能性があるのです。もちろんこれは、医療従事者のモラルと作文技量の問題であり、そんなことで患者の正確な記録を残せなくなるということが、正当な理由にもなりませんが、試験的にカルテ開示を試みた医療機関では、医療スタッフのカルテ書きの時間が非常に長くなり、逆に内容は薄くなってしまったという報告もあるのです。
さて、あなたは自分のカルテを見たいと言いますか? それとも、言いませんか?
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